いいことさがそ 〜小児がんママと応援隊のコミュニティー〜

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【報告】5/17 ジャパン・フォー・リブストロング「自分ががんになったとき 愛する人ががんになったとき」


小児がん”に関する情報発信・コミュニティーです。病気や困難があっても、笑顔生活の為、互いに支え合い、理解し合える社会との繋がりを目指し、応援隊を増やします。

 

 

昨日、お話をさせていただきました講演会の報告です。

「自分ががんになったとき 愛する人ががんになったとき」

主催:ジャパン・フォー・リブストロング

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2015年5月17日(日)午後

http://www.cancerchannel.jp/posts/2015-05-17/25547.html

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原稿を読みながらでとても上手にはお話できませんでしたが、

みなさんに想いを届けられたら幸いです。

 

その全文をお知らせします。(当日はスライドを使わせていただきました)

 

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本日は、「愛する人ががんになったとき」ということで、お話の機会を頂戴し、ありがとうございます。
僭越ながらお話させていただきます関口理恵と申します。ただ、私の場合は、同じ「がん」でも、大人のがんではなく、子どものがん。小児がんです。子どももがんになります。今日は、わが子が1歳8か月で小児がんになったお話をさせていただきます。

 

 

はじめに簡単に小児がんについて、お話させてください。
わが国では年間2,000~2,500人の子どもが小児がんと診断されています。子ども10,000人に約1人の割合です。
➡わが国では、年間二千人から二千五百人の子どもが小児がんと診断されています。

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こどもの死亡原因を年齢別に示しています。4歳までは先天異常が死亡原因の1位ですが、それ以降は事故などの病死以外の原因を除けば、がん(悪性新生物)が死亡原因の1位です。
➡子どもの死亡原因として、がんは、不慮の事故に次ぐ結果となっています。
主な小児がんは、白血病、脳腫瘍、神経芽腫(しんけいがしゅ)、悪性リンパ腫、腎腫瘍(腎芽腫(じんがしゅ)、ウィルムス腫瘍)などです。血液のがんである白血病や悪性リンパ腫を除き、大人ではまれなものばかりです。胃がんや肺がんなどは、子どもにはみられません。
 

 
神経芽腫、腎芽腫(ウィルムス腫瘍)、肝芽腫など「芽腫」と呼ばれるがんの原因は、胎児の体の神経や腎臓、肝臓、網膜(もうまく)などになるはずだった細胞が、胎児の体ができあがった後も残っていて、異常な細胞に変化し、ふえていった結果と考えられています。大人のがんとは異なり、生活習慣にがんの発生原因があると考えられるものは少なく、網膜芽腫やウィルムス腫瘍のように、遺伝するものもあります。

現在、小児がんは、手術治療、薬物療法(抗がん剤治療)、放射線治療、造血幹細胞移植などを組み合わせて治療します。
➡主な小児がんは次のようなものですが、大人と違って胃がんや肺がんなどは子どもにはありません。「芽腫」とよばれるがんの原因は、胎児の身体の神経や腎臓、肝臓、網膜になるはずだった細胞が、胎児の身体が出来上がったあとも残っていて、以上な細胞に変化し、増えていった結果と考えられています。この点でも子どもと大人のがんは違う性質であることがお分かりいただけるかと思います。
小児がんは発見が難しく、がんの増殖も速いのですが、成人のがんに比べて化学療法や放射線療法に対する効果が極めて高いのも特徴です。ここ数十年の医療の進歩で、現在では70~80%が治るようになってきました。
 

 
小児がんは、以前は『不治の病』とされてきましたが、1950年代にはそれまでの手術療法に加えて放射線治療が、1960年代には薬物療法(抗がん剤)が治療に効果があることがわかり、その後、多剤併用や増血幹細胞移植が適用されるようになって、総合的に治癒率が向上してきました。

➡小児がんは発見が難しく、がんの増殖も速いのですが、成人のがんに比べて化学療法や放射線療法に対する効果が極めて高いのも特徴です。ここ数十年の医療の進歩で、現在では白血病を主に70~80%が治るようになってきました。

 

➡ただし、小児がんは治ってよかったではありません。再発以外にも子どもたちはたくさん問題を抱えています。
子ども(の場合)発育途中にあるため、治療の合併症がその後何年も経ってからあらわれることがあります。これを晩期合併症といいます。晩期合併症には成長・発達、生殖機能、臓器機能、二次がんに関するものなどがあります。そのため、治った後も年齢に応じた長期にわたるフォローアップが必要です。治癒後、定期的な受診をしていきます。
 

 
小児がんでは治癒後も、晩期合併症においてはチーム医療が、生活面や教育面では社会的なさまざまなサポートが必要とされています。

 

 

国立がん研究センター小児がん情報サービスより
http://ganjoho.jp/child/dia_tre/about_childhood/about_childhood.html

 

 

さて、これが大学病院に搬送された日の写真です。わが子は1歳8か月でした。まだ「ぽんぽん」としか言えず、「痛い」と言えなかったので、しばらくお腹の風邪だろうと思われていました。「小児がん」と告知されたとき、テレビの影響が強かったため、イコール「死」という認識しかありませんでした。

 

 

翌日救急車で大学病院に運ばれ、検査が続き、すぐにオペも行われました。

 

 

わが子は副腎が原発の神経芽腫ということで、当時のわが子の頭ほどの腫瘍がお腹で大きくなっていました。1歳8か月というと、まだお腹がぽっこりしていた時期で、入院前はまったくわかりませんでしたが、入院してから急に異常に膨らみ始めました。もうギリギリの状態でした。すでに腫瘍内に出血がみられたので、おなかを打ちつけていたら危なかったと言われました。

 

 

さて、そこから1年の闘病生活が始まります。抗がん剤治療に加え、自家末梢血幹細胞移植、放射線、オペも原発のオペから、転移部のオペまで、何度オペ室に見送ったか覚えていません。またオペの副作用である腸閉塞も起こし、間一髪で緊急手術を行い、ストマも経験しました。そして、退院して3か月後には、また病院に戻っていました。

 

 

再発です。1年繰り返した生活を、また再度1年繰り返すことになりました。この時のショックは、初発の時とは違う恐怖でした。

 

 

約2年。トータル800日をわが子と病院生活を送りました。母子ともに、病院に住んでいたといっても過言ではありません。治療の合間をみて、数日の外泊はするものの、すぐに戻って治療が始まります。そんな生活でした。

 

 

1歳8か月のわが子は病院で2回の誕生日を迎え、4歳になる1週間前にようやく退院となりました。長い長い闘病800日の間に、私はひとり親になり、また仕事の継続も不可能となりました。そう考えると困難ばかりのようですが、振り返ると感謝でしかありません。なにしろ、今もわが子が命を頂戴しているからです。
空に見送った仲間は数えきれません。そう考えるだけでも、ありがたいと思うと同時に、私たちには伝えるべき役割があるのだと思い知らされます。

 

その一つ、「ひとりじゃないよ」ということです。

 

 

これは、困難を抱えた経験がある方は、誰もが感じ、伝えたい強いメッセージのひとつだと思います。

 

 

しかし、人は困難を抱えた時に「一人になる」選択をすることがあります。

 

 

・なぜ、わが子だけが病気になったのか?
・なぜ、同じ病気なのに…
・なぜ、あのお母さんは笑っていられるのか?

 

 

私は、人生でこれほど人を羨んだり妬ましかったり、怒り苦しみ絶望を感じた時期はありませんでした。私の中にある、ありとあらゆる「負の感情」が次々に湧き起こって、そして、最後は自分が情けなくなり、悲しくなり。わが子の姿を見て苦しみ、切なくなっていました。

 

 

そうして、自ら壁を作ってしまうこともありました。

 

 

私たち母親でさえ、そうして殻を作って閉じこもる時期がありましたから、当事者であるサバイバーの方にもそうした、事実と向き合っていく過程には、さまざまな葛藤があるのではないかと想像します。

 

 

しかし、子どもたちは違います。

 

 

はじめに、小児がんと大人の方のがんの違いをお話しましたが、大きく違うのは、子どもたちのメンタル面ではないかと思います。

 

 

もちろん、この場合ある程度大きいお子さんの場合は除いてください。今は、小児がんの子どもたちも告知をされる時代です。自らががんであることを知り、よく理解もできていない「死」と向き合わなければならない困難は、それはとても大きなもので、加えて友だちと会えない葛藤。勉強の遅れを感じ卑屈になる気持ち。毎日のように続く痛みや苦しみ。そうしたことのはけ口を親に向けるお子さんも、もちろんいます。それは仕方のないことです。

 

 

しかし、それに比べて、小さな子どもたちは無邪気です。今嘔吐したかと思っても、次にはケロッとして笑っていたりもします。その瞬間、瞬間をただひたすら受け入れ、一つ一つ過ごしていくだけ、という印象です。もちろんそれは「死」の恐怖を知らないということもあるでしょう。

 

 

苦しく、辛いときはじっとして、淡々とその状態が過ぎるのを静かに待つ。そうしてやり過ごすという感じです。わが子も体調が悪い移植部屋(クリーンルーム)では、ひたすらジブリ作品を見続けていました。

 

 

そうした子どもたちの姿をみて、これが小児がんの子どもたちの強さでもあるな、と思いました。冒頭でお話したとおり、小児がんの発見はほとんどがステージ4であり、かなり進行している場合が多いのが現実です。それでも、治療に対して効果が極めて高いのは、こうしたメンタル面の影響も大いにあるのではないかと、勝手に思っています。

 

 

そんな彼らに私が学んだことは、「複雑な感情をコントロールすることは不可能だ」ということです。というより、感情はコントロールするものではなく、理解するもの。受け入れられなくてもいい。でも、「いま私はこういう時期なのだ」。と、自分の心もちを知ることが大切なのだと思います。

 

 

たとえば、
「殻に閉じこもる必要がある時期。」
「ひたすら日々を静かに過ごす時期。」

 

 

そういう時期だと、自分が理解すれば、次に浮上していくまでのスパンが短くなるのではないかと感じています。

 

 

長い長いトンネルの中では、焦って光を探そうとするときほど、余計に見つけにくくなります。暗闇のトンネルの中で、目を閉じて、耳を澄ませた方が、もしかしたら光への道しるべを見つけられるのかもしれません。

 

 

特に私たち、サバイバーではない親の立場としては、何度も行きつ戻りつする、不安なこの感情の整理がつきにくいものです。
痛みも苦しみも変わってあげられない。というより、母であればこそ、なぜこんな身体に生んでしまったのだろうと、自分を責め続けることもあります。

 

 

でも、そんな感情もみな必ず通る道。そんな風に自分を責める時期を経て、次のステップが見えてきます。そうして、これらの負の感情に「折り合い」をつけていく。そうしていくことが、とても重要なことだと思っています。

 

 

「折り合いをつける」とは、自分が抱くさまざまな感情に対して蓋をすることなく、まずは自然なことだと捉えることです。そして、自分の心が一番腑に落ちる行動や在り方を、自然のままその時に合わせて、決めていくことです。

 

 

それは私たち親だけではありません。
子どもたちはこれから先、自分の思う想う通りにならないことに直面していきます。

 

 

・どうしてこんなことになったんだ
・どうしてこんな体にうまれたんだ!
・なんで、勉強ができないんだ。(覚えられない、と悩む子もいます)
・なんで、進学できないんだ、就職できないんだと

 

 

さまざまな困難に、社会の壁にぶつかっている子どもたちが大勢います。

 

 

第一に、これらは社会の課題として取り組むべきことではあると思いますが、
現実には、子どもたち自身がその困難と向き合って行かなければなりません

 

 

その時に、ある感情に固執させられることなく、柔軟に自然に心と対話していく。
そうして、折り合いをつけて生きていくこと。
それが子どもたちにとっても大切になっていくと思うのです。

 

 

そして、
その時に大切なのは、「ひとりじゃない」ということに気が付くことです。

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何事もひとりでは苦しくなります。
話すことで手放せることもあります。
話せないときでも、同じような境遇の仲間がいたらそれだけでも恐怖が和らぐでしょう。

 

 

それは、
当事者のサバイバーの方だけではありません。サバイバーの方を支える私たち母親、父親。おじいちゃん、おばあちゃん。それぞれがそれぞれに「支え」が必要で、本来は第三者の専門的なケアが必要だとは思いますが、まず今は、その誰もが『孤独』を抱えてはいけないということです。

 

 

サバイバーが一人きりで闘ってはいけない。家族や仲間が必要なことと同じで、その家族や仲間にもそれぞれに、それぞれの支援が必要で。

 

 

その多くの何十にもなる輪が広がっていくことが大事だと痛感しています。

 

 

それは、まさにリブストロングさんの活動そのものなのではないでしょうか?

 

 

たった一人の命を守るだけの支援ではない。サバイバーの周囲の多くの方へのそれぞれの支援やケアは、それぞれの人生をも変える大切な、重要な出来事でもあると思うのです。

 

 

・・・正直、やっぱりわが子ががんになどならなければよかったと思っています。私たちにはそうは思えないのが本音のところです。

 

 

それこそが、「愛する人ががんになったとき」の周囲の正直な感想なのだと思います。

 

 

私の母が少し前にこう言いました。最後の治療からはほぼ5年経っています。
「一番つらかったのは孫ががんになったことより、娘のあなた(=私)が、(がんの子どもの母として)辛い思いをしていることだった」と。
 
愛とはそういうことなんだと思いました。

 

 

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でも、だからこそ私たちは、笑っていたい。
わが子たちが、「あれ?そんなに大変なことじゃないんだな」とそう錯覚してくれるように、本人の前ではできるだけ笑顔でいたい。みんなそう思って愛するわが子たちと日々接しています。

 

 

でも、ひとりでは笑えませんね。
泣く時は一人でも、笑うときは周りの人と一緒の笑顔であってほしい。支えのある中での力強い笑いであってほしい。

 

 

「がん」とは、「命」や「生きること」や「愛」を深く感じ、何度も考えさせられるものです。
そう私は思います。

 

 

そして、最後に私たちに必要なのは、『想像力』と『共感力』です。それによって、互いに支えられる関係となり、社会を変えていける力になると信じています。

 

 

つたないお話をお聞きくださり、ありがとうございました。

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